2024年06月12日
「ラジカット®内用懸濁液2.1%」説明会

本日は、田辺三菱製薬MRさんより、筋萎縮性側索硬化症(ALS) 「ラジカット®内用懸濁液2.1%」 の説明会をして頂きました。
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は筋肉を動かす命令を伝える神経が障害を受けることで、筋肉が痩せていき筋力がなくなり最終的に呼吸ができなくなる病気です。この疾患の原因は詳細には解明されてませんが、神経伝達物質であるグルタミン酸による過剰興奮に基づく運動ニューロン(骨格筋を支配する神経細胞)の変性などが考えられてます。また、フリーラジカルという物質による酸化作用によっての細胞の障害がALSの発症に関わっていると考えられてます。
どのように作用するかは解明されていない部分もありますが、現在は下記2剤しか治療薬はありません。
① リルゾール(主な商品名:リルテック) : グルタミン酸の遊離を阻害する作用やグルタミン酸の受容体であるAMP型やNMDA型といった興奮性アミノ酸受容体への阻害作用などにより、神経細胞の保護作用をあらわす。
② エダラボン(商品名:ラジカット) : フリーラジカル消去による脂質過酸化を抑える作用により、神経細胞の酸化的障害を抑制する作用をあらわす。
これまで、日本におけるラジカットの投与経路は点滴静注に限られていましたが、昨年4月に経口投与できる内用懸濁液として発売されました。
【ラジカット説明会概要】
・食事の影響により血漿中濃度が低下するため、起床時等の8時間絶食後に本剤を服用することとし、服用後少なくとも1時間は水以外の飲食は避ける。
・14日間のうち10日間投与する投与期の後、 14日間休薬(休薬期)するのを1クールとする。14日間のうち10日間の服用決まっており、10日間連続投与でも平日のみ投与でも自由に決めることができる。
・飲む前にボトルをよく振って、ボトルの底に固まりがないことを確認する。
・味:とろみがあり甘い。(L-システインを含むため多少硫黄の匂いがする)
・保管方法:開封後は室温(1~30℃)で保存。冷蔵庫の中に保存しても問題ないが、服用前のボトルを攪拌する際に低温だと混ざりにくいことがある。
・重篤な副作用:腎機能障害、肝機能障害、血小板減少・顆粒球減少、播種性血管内凝固症候群、急性肺障害、横紋筋融解症。特に尿量の減少、むくみ、けん怠感等の急性腎不全に注意。
現在は根本的な治療法はありませんが、アメリカでは一部の遺伝子に変異があるALS患者を対象とした新薬の申請や新薬の開発、また日本においてもiPS創薬の治験が進行しているとの事なので、早期の今後の新薬発売に期待したいと思います。
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は筋肉を動かす命令を伝える神経が障害を受けることで、筋肉が痩せていき筋力がなくなり最終的に呼吸ができなくなる病気です。この疾患の原因は詳細には解明されてませんが、神経伝達物質であるグルタミン酸による過剰興奮に基づく運動ニューロン(骨格筋を支配する神経細胞)の変性などが考えられてます。また、フリーラジカルという物質による酸化作用によっての細胞の障害がALSの発症に関わっていると考えられてます。
どのように作用するかは解明されていない部分もありますが、現在は下記2剤しか治療薬はありません。
① リルゾール(主な商品名:リルテック) : グルタミン酸の遊離を阻害する作用やグルタミン酸の受容体であるAMP型やNMDA型といった興奮性アミノ酸受容体への阻害作用などにより、神経細胞の保護作用をあらわす。
② エダラボン(商品名:ラジカット) : フリーラジカル消去による脂質過酸化を抑える作用により、神経細胞の酸化的障害を抑制する作用をあらわす。
これまで、日本におけるラジカットの投与経路は点滴静注に限られていましたが、昨年4月に経口投与できる内用懸濁液として発売されました。
【ラジカット説明会概要】
・食事の影響により血漿中濃度が低下するため、起床時等の8時間絶食後に本剤を服用することとし、服用後少なくとも1時間は水以外の飲食は避ける。
・14日間のうち10日間投与する投与期の後、 14日間休薬(休薬期)するのを1クールとする。14日間のうち10日間の服用決まっており、10日間連続投与でも平日のみ投与でも自由に決めることができる。
・飲む前にボトルをよく振って、ボトルの底に固まりがないことを確認する。
・味:とろみがあり甘い。(L-システインを含むため多少硫黄の匂いがする)
・保管方法:開封後は室温(1~30℃)で保存。冷蔵庫の中に保存しても問題ないが、服用前のボトルを攪拌する際に低温だと混ざりにくいことがある。
・重篤な副作用:腎機能障害、肝機能障害、血小板減少・顆粒球減少、播種性血管内凝固症候群、急性肺障害、横紋筋融解症。特に尿量の減少、むくみ、けん怠感等の急性腎不全に注意。
現在は根本的な治療法はありませんが、アメリカでは一部の遺伝子に変異があるALS患者を対象とした新薬の申請や新薬の開発、また日本においてもiPS創薬の治験が進行しているとの事なので、早期の今後の新薬発売に期待したいと思います。
2024年05月17日
「アリドネパッチ」 説明会

本日は、興和式会社MRさんより、アルツハイマー型認知症治療剤 「アリドネパッチ」 の説明会をして頂きました。
アリドネパッチは、既にコリンエステラーゼ阻害薬として販売されているドネペジル(アリセプト)の貼付薬です。
5月から長期制限解除になりました。
【特徴】
・貼付薬投与後の定常状態におけるドネペジルの血中濃度時間曲線下面積(AUC)は、経口製剤投与後の定常状態におけるAUCと同程度。
・光線過敏症が発現する恐れがある。(貼付部位への直射日光は避け、剥がした後も3週間は貼付部位に直射日光が当たらないようにする。)
・高度アルツハイマー型認知症に適応を持つ貼付薬はアリドネパッチのみ。
・55mg/日に増量する場合、嘔気・嘔吐、下痢などの消化器系副作用に注意が必要。
・アリドネパッチ27.5mgの大きさは81mm×81mmの63cm2で、リバスタッチパッチ最大用量の18mgでさえ10cm2なので比較するとかなり大きい。また、貼付したまま入浴できない。
・有害事象の発現状況についても経口製剤と貼付薬で大きな違いはないが、貼付剤のため皮膚に対する副作用が多い。
既存の薬剤と成分も一緒なので目新しい事はないですが、ドネペジルを服用してる患者さんの中、もしくは新規の認知症患者さんで、薬を飲むのを嫌がる方や薬が上手く飲み込めなくなった方に使用できるという点では選択肢が増えたのではないかと思われます。
関係ないですが、昨日、下記のニュースが出てました。
『海外で承認された医薬品が国内で実用化されない「ドラッグロス」の解消を目指す政府の有識者会議の中間とりまとめ案が16日判明した。
・バイオ医薬品が主流になり、人工知能(AI)を用いる創薬も登場するなど「創薬のパラダイムシフト」が起きていることなどが国際競争力の低下につながっている。・創薬力の強化を課題に挙げ、「研究初期から上市(市場販売)まで支援・実施できる幅広い関連産業の存在も不可欠。国としての総合力が試されている」と問題提起した。』
国は医療費の高騰を抑えるという理由のため薬価の引き下げを毎年行ってます。
日本市場は10兆円規模で魅力的だが、毎年薬価が下落する、また治験で日本人を入れる必要が有ることから、日本では利益が見込めないため新薬を導入しようという海外企業に敬遠されてます。また、毎年の薬価改定で製薬業界の利益を奪われ、国内製薬企業の創薬する資金がないのが現状です。ではどうですればいいか?下記の点が上げられてると思います。
・ 海外製薬メーカーに対する価格面でのインセンティブ強化と、日本向け治験の手間の削減。
・ 新薬の薬価下落を抑える。薬価改定を毎年から2年に1回に戻す。
・ 必要不可欠な製剤で収益性の低いものは薬価を上げる。
・ 薬価を政府が決めるのではなく創薬製薬メーカーに決めさせる。
「ドラッグロスと人材開発」の話からは話が少しそれましたが、「我が国の創薬力」「国としての総合力」と聞こえの言いことを国は挙げるのであれは、まずは出荷調整が多すぎる現状を何とかして欲しいという声が現場からは多いのではないでしょうか。
アリドネパッチは、既にコリンエステラーゼ阻害薬として販売されているドネペジル(アリセプト)の貼付薬です。
5月から長期制限解除になりました。
【特徴】
・貼付薬投与後の定常状態におけるドネペジルの血中濃度時間曲線下面積(AUC)は、経口製剤投与後の定常状態におけるAUCと同程度。
・光線過敏症が発現する恐れがある。(貼付部位への直射日光は避け、剥がした後も3週間は貼付部位に直射日光が当たらないようにする。)
・高度アルツハイマー型認知症に適応を持つ貼付薬はアリドネパッチのみ。
・55mg/日に増量する場合、嘔気・嘔吐、下痢などの消化器系副作用に注意が必要。
・アリドネパッチ27.5mgの大きさは81mm×81mmの63cm2で、リバスタッチパッチ最大用量の18mgでさえ10cm2なので比較するとかなり大きい。また、貼付したまま入浴できない。
・有害事象の発現状況についても経口製剤と貼付薬で大きな違いはないが、貼付剤のため皮膚に対する副作用が多い。
既存の薬剤と成分も一緒なので目新しい事はないですが、ドネペジルを服用してる患者さんの中、もしくは新規の認知症患者さんで、薬を飲むのを嫌がる方や薬が上手く飲み込めなくなった方に使用できるという点では選択肢が増えたのではないかと思われます。
関係ないですが、昨日、下記のニュースが出てました。
『海外で承認された医薬品が国内で実用化されない「ドラッグロス」の解消を目指す政府の有識者会議の中間とりまとめ案が16日判明した。
・バイオ医薬品が主流になり、人工知能(AI)を用いる創薬も登場するなど「創薬のパラダイムシフト」が起きていることなどが国際競争力の低下につながっている。・創薬力の強化を課題に挙げ、「研究初期から上市(市場販売)まで支援・実施できる幅広い関連産業の存在も不可欠。国としての総合力が試されている」と問題提起した。』
国は医療費の高騰を抑えるという理由のため薬価の引き下げを毎年行ってます。
日本市場は10兆円規模で魅力的だが、毎年薬価が下落する、また治験で日本人を入れる必要が有ることから、日本では利益が見込めないため新薬を導入しようという海外企業に敬遠されてます。また、毎年の薬価改定で製薬業界の利益を奪われ、国内製薬企業の創薬する資金がないのが現状です。ではどうですればいいか?下記の点が上げられてると思います。
・ 海外製薬メーカーに対する価格面でのインセンティブ強化と、日本向け治験の手間の削減。
・ 新薬の薬価下落を抑える。薬価改定を毎年から2年に1回に戻す。
・ 必要不可欠な製剤で収益性の低いものは薬価を上げる。
・ 薬価を政府が決めるのではなく創薬製薬メーカーに決めさせる。
「ドラッグロスと人材開発」の話からは話が少しそれましたが、「我が国の創薬力」「国としての総合力」と聞こえの言いことを国は挙げるのであれは、まずは出荷調整が多すぎる現状を何とかして欲しいという声が現場からは多いのではないでしょうか。
2024年02月22日
鉄欠乏性貧血治療剤 「リオナ錠250㎎」 説明会

本日は、鳥居薬品株式会社MRさんより、鉄欠乏性貧血治療剤 「リオナ錠250㎎」 の説明会をして頂きました。
リオナ錠といえば、血液中のリンと結合し腸からのリン吸収を抑える高リン血症の薬と認識してましたが、約3年前に「鉄欠乏性貧血」の適応が追加になってたのを最近になり知りました。
・ 『 フェロミア:第一鉄(2価:Fe2+) 』と『 リオナ:第二鉄(3価:Fe3+) 』の違いは消化管からの吸収になると思いますが、効果に関してはリオナはフェロミアとの比較試験が実施されており、非劣勢が証明されてるとの事。リオナ1000mg/日=フェロミア100mg/日
・ リオナは、食事直後の服用により、食事中のリンと結合し安定した複合体を形成して胃や小腸などの消化管に到達するため、遊離鉄による消化管の刺激が少なく、悪心嘔吐が少なくなると考えられている。ただ、下痢の頻度は少し高いかもしれません。
一般に鉄剤は消化器症状(吐き気、嘔吐)の発現率が高く、副作用を訴える患者さんは多いので、悪心・嘔吐の少ないリオナ錠がセカンドチョイスとして有用になると思いますが、ネックなのが薬価(148.2~296.4円/日)と、認知度が低いことでしょうか。MRさんも人数が少ないため専門医療機関の訪問の偏りがあり、消化器内科・一般内科の医師にあまり宣伝が出来てないとの事でした。
鉄欠乏性貧血は月経のある年代の女性に多く、国内で約500万人の患者がいると言われてますが、フェルムカプセルが販売中止になり選択肢が狭くなるため、今後はリオナ錠が選ばれる事も増えてくるのではないでしょうか。
、
【鉄欠乏性貧血経口治療剤】
〇フェロミア錠50mg:フィルムコート錠、(△フェロミア顆粒)1日薬価:7.2~28.8円)
胃酸が減っている状態でも安定して吸収されやすい。
〇フェルムカセプル100mg:徐放カプセル(販売中止:2024年4月に在庫消尽:1日薬価7.4円)
カプセル剤のため、鉄の味・臭いがしない、徐放製剤のため消化器系の副作用が少ない。
〇フェロ・グラデュメット錠105mg:徐放型鉄剤:1日薬価(6.7円~13.4円)
食直後に服用。錠剤が小さい。緑茶と一緒に服用で吸収が1/2に低下。制酸薬との併用で効果が落ちる。
〇インクレミンシロップ (6.2円/ml)
チェリー風味でおいしい。液剤のため副作用の発現状況をみながら用量調整も可能。
リオナ錠といえば、血液中のリンと結合し腸からのリン吸収を抑える高リン血症の薬と認識してましたが、約3年前に「鉄欠乏性貧血」の適応が追加になってたのを最近になり知りました。
・ 『 フェロミア:第一鉄(2価:Fe2+) 』と『 リオナ:第二鉄(3価:Fe3+) 』の違いは消化管からの吸収になると思いますが、効果に関してはリオナはフェロミアとの比較試験が実施されており、非劣勢が証明されてるとの事。リオナ1000mg/日=フェロミア100mg/日
・ リオナは、食事直後の服用により、食事中のリンと結合し安定した複合体を形成して胃や小腸などの消化管に到達するため、遊離鉄による消化管の刺激が少なく、悪心嘔吐が少なくなると考えられている。ただ、下痢の頻度は少し高いかもしれません。
一般に鉄剤は消化器症状(吐き気、嘔吐)の発現率が高く、副作用を訴える患者さんは多いので、悪心・嘔吐の少ないリオナ錠がセカンドチョイスとして有用になると思いますが、ネックなのが薬価(148.2~296.4円/日)と、認知度が低いことでしょうか。MRさんも人数が少ないため専門医療機関の訪問の偏りがあり、消化器内科・一般内科の医師にあまり宣伝が出来てないとの事でした。
鉄欠乏性貧血は月経のある年代の女性に多く、国内で約500万人の患者がいると言われてますが、フェルムカプセルが販売中止になり選択肢が狭くなるため、今後はリオナ錠が選ばれる事も増えてくるのではないでしょうか。
、
【鉄欠乏性貧血経口治療剤】
〇フェロミア錠50mg:フィルムコート錠、(△フェロミア顆粒)1日薬価:7.2~28.8円)
胃酸が減っている状態でも安定して吸収されやすい。
〇フェルムカセプル100mg:徐放カプセル(販売中止:2024年4月に在庫消尽:1日薬価7.4円)
カプセル剤のため、鉄の味・臭いがしない、徐放製剤のため消化器系の副作用が少ない。
〇フェロ・グラデュメット錠105mg:徐放型鉄剤:1日薬価(6.7円~13.4円)
食直後に服用。錠剤が小さい。緑茶と一緒に服用で吸収が1/2に低下。制酸薬との併用で効果が落ちる。
〇インクレミンシロップ (6.2円/ml)
チェリー風味でおいしい。液剤のため副作用の発現状況をみながら用量調整も可能。