2025年02月21日

「ラスビック錠75mg」説明会

本日は杏林製薬MRさんより、ニューキノロン系経口抗菌剤 「ラスビック錠75mg」 の説明会をして頂きました。
内容は「成人肺炎診療ガイドライン2024とラスビック錠75mgの位置付け」、他ニューキノロン製剤との相違・製品概要についてでした。

【ラスビック錠の特徴】
・DNAジャイレースおよびトポイソメレースⅣを同程度に阻害するため既存のキノロン系薬に比べて耐性菌を作りにくい。
・レスピラトリーキノロンの中で耐性菌対策として開発されたものはジェニナックとラスビックの2剤。
・組織移行性が良好であり肺膿瘍にも有効。市中肺炎の原因菌をほとんどカバーしており、嫌気性菌にも活性あり。腎機能による容量調節の必要なし。
・耳鼻科・呼吸器科での使用率(宣伝)が高いが、その他の科の使用率(認知率)が低い。

ニューキノロン系薬剤は基本的には腎排泄ですが、ラスビックは肝代謝のため、腎機能の悪い高齢者の方には使用しやすいのが特徴ではないかと。あまり製品が認知されてない気もしますが、現在、出荷調整もなく効果も期待できる薬剤なのではないかと思います。


  

Posted by サンジ at 18:52Comments(0)薬局・医薬品

2024年08月29日

「エクオール」説明会

本日は大塚製薬MRさんより、「エクオール」の説明会をして頂きました。

エクオールは市販されてるサプリメントですが、大豆イソフラボン(ダイゼイン)の代謝物でであり、人間の体内で女性ホルモンのように働き、更年期症状の改善や骨粗しょう症予防効果、女性のメタボ改善作用などさまざまな研究発表が報告されています。
最近の話題ということで、「整形領域とエクオール」、「エクオール産生能とPMS」の話が参考になりました。当薬局かかりつけの患者様には低価格で販売させて頂いております。

説明会は毎月1~2回は実施しており、専門的な薬剤は薬剤師だけで聞いてますが、今年はテーマを大きくし、事務さんも勉強になるように女性に特化した薬剤の説明会を多く行ってます。

・ 多汗症 エクロックゲル(2月)
・ 貧血  リオナ錠(2月)
・ 子宮筋腫・子宮内膜症 レルミナ錠(7月)
・ 更年期障害 エクオール(8月)

女性特有の病気や薬剤の知識は知っておいた方がよいし、むしろ薬局でしか得られない情報だと思います。お弁当も頂けますし、スタッフにも好評のため今後もこういった説明会を続けていきたいと思います。



  

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2024年06月17日

『アメナリーフ錠200mg(PIT療法)』 説明会

本日は、マルホ製薬MRさんより、「単純ヘルペス再発抑制療法(PIT療法)」 の説明会をして頂きました。
マルホ製薬は、「ファムビル錠250mg」と「アメナリーフ錠200mg」の2剤を販売してます。

PITとは「Patient Initiated Therapy」 の頭文字をとった略語で、事前に処方され単純ヘルペスの症状が出るまでは携帯して頂きヘルペスの初期症状が出現した時点で患者さんの判断で服用を開始する治療方法です。海外では1 day treatmentとして、標準的な治療法となってるようです。

【PIT療法の用法】
・ファムビル錠:再発の症状が出てから6時間以内に内服を開始。初回に4錠、12時間後に再度4錠服用。
・アメナリーフ錠:初回の6錠のみ服用。

PITで処方する場合、患者さんの3割負担で、アメナリーフは約2,100円 ファムビルは610円とアメナリーフの方がかなり高額になっていますが1回の内服で済む、内服する錠数は腎機能の影響を受けないのが利点。ただ、食事の影響を受けるため、アメナリーフのPIT療法は食後に内服した方が良く、食欲が無くても脂質が多い食事(カロリーメイト、納豆たまごがけご飯、プリン)の摂取後の服用を推奨しておりました。

また、ファムビルのPIT療法は、1年におよそ3回以上の再発を繰り返す方が適応ですが、アメナリーフのPIT療法は再発する方であれば回数は問われていません。

ヘルペスは現代の医学では完治することはできず、再発を繰り返す病気で患者さんはかなり多いと思います。ただ、医療機関まで足が遠かったり、仕事で忙しいという理由で、受診せずに市販の塗り薬だけで治療する患者さんが多いとの事でした。やっかいな病気ですが、症状を理解し、再発する患者さんは自分のタイミングで医療機関を受診すれば、帯状疱疹ワクチン(シングリックス)を含め、上記で2剤で再発を抑制することは難しくないのではないかと思います。






  

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2024年06月12日

「ラジカット®内用懸濁液2.1%」説明会

本日は、田辺三菱製薬MRさんより、筋萎縮性側索硬化症(ALS) 「ラジカット®内用懸濁液2.1%」 の説明会をして頂きました。

筋萎縮性側索硬化症(ALS)は筋肉を動かす命令を伝える神経が障害を受けることで、筋肉が痩せていき筋力がなくなり最終的に呼吸ができなくなる病気です。この疾患の原因は詳細には解明されてませんが、神経伝達物質であるグルタミン酸による過剰興奮に基づく運動ニューロン(骨格筋を支配する神経細胞)の変性などが考えられてます。また、フリーラジカルという物質による酸化作用によっての細胞の障害がALSの発症に関わっていると考えられてます。

どのように作用するかは解明されていない部分もありますが、現在は下記2剤しか治療薬はありません。

① リルゾール(主な商品名:リルテック) : グルタミン酸の遊離を阻害する作用やグルタミン酸の受容体であるAMP型やNMDA型といった興奮性アミノ酸受容体への阻害作用などにより、神経細胞の保護作用をあらわす。
② エダラボン(商品名:ラジカット) : フリーラジカル消去による脂質過酸化を抑える作用により、神経細胞の酸化的障害を抑制する作用をあらわす。

これまで、日本におけるラジカットの投与経路は点滴静注に限られていましたが、昨年4月に経口投与できる内用懸濁液として発売されました。

【ラジカット説明会概要】
・食事の影響により血漿中濃度が低下するため、起床時等の8時間絶食後に本剤を服用することとし、服用後少なくとも1時間は水以外の飲食は避ける。
・14日間のうち10日間投与する投与期の後、 14日間休薬(休薬期)するのを1クールとする。14日間のうち10日間の服用決まっており、10日間連続投与でも平日のみ投与でも自由に決めることができる。
・飲む前にボトルをよく振って、ボトルの底に固まりがないことを確認する。
・味:とろみがあり甘い。(L-システインを含むため多少硫黄の匂いがする)
・保管方法:開封後は室温(1~30℃)で保存。冷蔵庫の中に保存しても問題ないが、服用前のボトルを攪拌する際に低温だと混ざりにくいことがある。
・重篤な副作用:腎機能障害、肝機能障害、血小板減少・顆粒球減少、播種性血管内凝固症候群、急性肺障害、横紋筋融解症。特に尿量の減少、むくみ、けん怠感等の急性腎不全に注意。

現在は根本的な治療法はありませんが、アメリカでは一部の遺伝子に変異があるALS患者を対象とした新薬の申請や新薬の開発、また日本においてもiPS創薬の治験が進行しているとの事なので、早期の今後の新薬発売に期待したいと思います。




  

Posted by サンジ at 16:03Comments(0)薬局・医薬品

2024年05月17日

「アリドネパッチ」 説明会

本日は、興和式会社MRさんより、アルツハイマー型認知症治療剤 「アリドネパッチ」 の説明会をして頂きました。

アリドネパッチは、既にコリンエステラーゼ阻害薬として販売されているドネペジル(アリセプト)の貼付薬です。
5月から長期制限解除になりました。

【特徴】
・貼付薬投与後の定常状態におけるドネペジルの血中濃度時間曲線下面積(AUC)は、経口製剤投与後の定常状態におけるAUCと同程度。
・光線過敏症が発現する恐れがある。(貼付部位への直射日光は避け、剥がした後も3週間は貼付部位に直射日光が当たらないようにする。)
・高度アルツハイマー型認知症に適応を持つ貼付薬はアリドネパッチのみ。
・55mg/日に増量する場合、嘔気・嘔吐、下痢などの消化器系副作用に注意が必要。
・アリドネパッチ27.5mgの大きさは81mm×81mmの63cm2で、リバスタッチパッチ最大用量の18mgでさえ10cm2なので比較するとかなり大きい。また、貼付したまま入浴できない。
・有害事象の発現状況についても経口製剤と貼付薬で大きな違いはないが、貼付剤のため皮膚に対する副作用が多い。

既存の薬剤と成分も一緒なので目新しい事はないですが、ドネペジルを服用してる患者さんの中、もしくは新規の認知症患者さんで、薬を飲むのを嫌がる方や薬が上手く飲み込めなくなった方に使用できるという点では選択肢が増えたのではないかと思われます。

関係ないですが、昨日、下記のニュースが出てました。

『海外で承認された医薬品が国内で実用化されない「ドラッグロス」の解消を目指す政府の有識者会議の中間とりまとめ案が16日判明した。
・バイオ医薬品が主流になり、人工知能(AI)を用いる創薬も登場するなど「創薬のパラダイムシフト」が起きていることなどが国際競争力の低下につながっている。・創薬力の強化を課題に挙げ、「研究初期から上市(市場販売)まで支援・実施できる幅広い関連産業の存在も不可欠。国としての総合力が試されている」と問題提起した。』

国は医療費の高騰を抑えるという理由のため薬価の引き下げを毎年行ってます。
日本市場は10兆円規模で魅力的だが、毎年薬価が下落する、また治験で日本人を入れる必要が有ることから、日本では利益が見込めないため新薬を導入しようという海外企業に敬遠されてます。また、毎年の薬価改定で製薬業界の利益を奪われ、国内製薬企業の創薬する資金がないのが現状です。ではどうですればいいか?下記の点が上げられてると思います。

・ 海外製薬メーカーに対する価格面でのインセンティブ強化と、日本向け治験の手間の削減。
・ 新薬の薬価下落を抑える。薬価改定を毎年から2年に1回に戻す。
・ 必要不可欠な製剤で収益性の低いものは薬価を上げる。
・ 薬価を政府が決めるのではなく創薬製薬メーカーに決めさせる。

「ドラッグロスと人材開発」の話からは話が少しそれましたが、「我が国の創薬力」「国としての総合力」と聞こえの言いことを国は挙げるのであれは、まずは出荷調整が多すぎる現状を何とかして欲しいという声が現場からは多いのではないでしょうか。



  

Posted by サンジ at 14:42Comments(0)薬局・医薬品