2019年01月28日

抗インフルエンザウイルス剤 『ゾフルーザ』 の耐性②

2日前に『ゾフルーザの耐性』に関してブログを書いたばかりですが、薬剤師として恥ずかしい事なのですが、本日、ゾフルーザの添付文書を見直していて初歩的な事に気付きました。というか添付文書に【耐性】の項目がある事を知りませんでした、、、。

『ゾフルーザ』 添付文書より
【薬効薬理】 4.『耐性』 12 歳未満の小児を対象とした国内第Ⅲ相臨床試験において,本 剤が投与された患者で,投与前後に塩基配列解析が可能であっ た 77 例中 18 例(いずれも A 型インフルエンザウイルス感染症 患者)にバロキサビル マルボキシル活性体の結合標的部位で あるポリメラーゼ酸性蛋白質領域の I38 のアミノ酸変異が認め られた。成人及び 12 歳以上の小児を対象とした国際共同第Ⅲ相 臨床試験において,本剤が投与された患者で,投与前後に塩基 配列解析が可能であった 370 例中 36 例(A 型インフルエンザウ イルス感染症患者)に I38 のアミノ酸変異が認められ,そのう ち 1 例は A 型及び B 型インフルエンザウイルスの重複感染患者 で,両型において I38 のアミノ酸変異が認められた。また,い ずれの臨床試験においても,本剤投与中に I38 のアミノ酸変異 を検出した患者集団では,本剤投与から 3 日目以降に一過性の ウイルス力価の上昇が認められた。なお,成人及び 12 歳以上の 小児を対象とした国際共同第Ⅲ相臨床試験の本剤が投与された 患者で認められた I38 のアミノ酸変異の有無別のウイルス力価 の推移は図 5 のとおりであった 17)。

ちなみに、『タミフル』の添付文書は
4.耐性 国外及び国内臨床試験における本剤に対する耐性ウイルスの出現率 は、成人及び青年(13歳以上)では0.67%(15/2,253例)、幼小児(1~12 歳)では4.24%(72/1,698例)、新生児、乳児(1歳未満)では、18.31% (13/71例)であった。耐性ウイルスは全てA型ウイルスに由来し、B型 では出現が認められなかった。耐性を獲得したウイルスでは、マウス 及びフェレットにおいて感染性の低下が認められ、感染部位での増殖、 伝播力は低いと考えられる。耐性を獲得したウイルスでは、ノイラミ ニダーゼのアミノ酸変異が認められている。

『リレンザ』の添付文書は
4.耐性 急性インフルエンザウイルス感染に対するザナミビルの効果 を検討した海外第Ⅱ相9)及び第Ⅲ相臨床試験10)並びに予防効果 を検討した海外臨床試験11)で、300例以上の患者から分離した インフルエンザウイルス株においてザナミビルに対する感受 性の低下した株は認められなかった。これまでのところ、B型 インフルエンザウイルス感染症の免疫力の低下した小児にザ ナミビルを 2 週間投与した 1 症例において、ザナミビル耐性 株発現の報告がある12)。 国内において成人及び小児患者を対象にザナミビルに耐性を 示すインフルエンザウイルス出現に関する調査を行った(2001 年~2005年シーズン:成人、2006年~2009年シーズン:小児)。 その結果、本剤投与前又は投与後に分離・同定した580例の患 者のインフルエンザウイルス株のIC50値より、ザナミビル耐性 が示唆される株は認められなかった。

『イナビル』の添付文書は
4.耐性 インフルエンザウイルス感染症に対するラニナミビルオクタン 酸エステル水和物の効果を検討した国内臨床試験8試験(国際 共同試験の1試験含む)で、1,917例の患者から分離したインフ ルエンザウイルス株において活性代謝物ラニナミビルに対する 感受性が低下した株は認められなかった。

この結果から言うと、
① ゾフルーザ:12歳未満では4~5例に1例は無効、12歳以上では10例に1例は無効。
② タミフル:13歳以上では150人に1人は無効、1~12歳では25人に1人は無効、1歳未満では5人に1人が無効。
③ リレンザ:1例だけ耐性の報告あり
④ イナビル:耐性の報告なし

うーん、ゾフルーザの説明会の時はMRさんから耐性に関しての説明はなく、作用機序や効果面の良い部分しか聞きませんでした。しっかり添付文書を読むべきでしたが、長所にだけ目がいってしまいました。現在、インフルエンザ市場の半分以上のシェアをゾフルーザが占めてるそうですが、耐性化した患者さんがインフルエンザ脳症を起こしたり、死亡に至る報告がないことを祈ってます。そして、もし自分の家族がインフルエンザにかかったとしたら、あなたはどの薬を医師に選んでほしいでしょうか?




  


Posted by サンジ at 21:45Comments(0)薬局・医薬品

2019年01月26日

抗インフルエンザウイルス剤 『ゾフルーザ』 の耐性株検出

1回の服用で治療が終わってしまう、画期的インフルエンザ治療新薬「ゾフルーザ」に早くも耐性株の報告が報道されました。作用機序から考えると耐性が出にくいイメージがあったので、耐性菌発現の発見が速すぎて驚きました。

販売元の塩野義製薬は、年明けのインフルエンザの急激な流行を受けて注文が殺到しているため、「ゾフルーザ」の増産を検討してるそうです。塩野義製薬といえば、昔は『抗生剤の塩野義』と言われるくらい抗生剤がメインの会社でしたが、抗生剤による耐性菌の発現抑制を含めた『厚生労働省による抗生剤の適正使用の推進』により販売が減少し、会社が縮小していった記憶があります。マスコミが誘導してるのか、塩野義が誘導してるのか分かりませんが、インフルエンザ治療といえば、今は『ゾフルーザ』一色の傾向(流行)がありますが、今後の耐性株の動向次第では、抗生剤の時の二の舞を踏むかもしれませんね。

今月、ニューキノロン系抗菌薬の添付文書の[重大な副作用]の項に「大動脈瘤、大動脈解離を引き起こすことがある」と追記されたのも驚きましたが、抗生剤や抗ウイルス薬は安易に使うと怖いなと感じました。





  
タグ :ゾフルーザ


Posted by サンジ at 13:54Comments(0)薬局・医薬品

2019年01月25日

新年会 (日本料理 椿亭 )

本日は、日本料理「椿亭」で新年会を行いました。
『とろろ』が有名な店で、10年前までは年に数回はお世話になってましたが、最近はご無沙汰しており10年ぶりの訪問です。店名が微妙に変わってましたが、全部屋が個室なのが良いところでしょう。

年末・年始にインフルエンザも流行り忙しい中、風邪もひかず、1日も休まずに頑張ってるスタッフに感謝の新年会です。今回は思い切って 『天然とらふぐ懐石』 にしました。てっさ、唐揚げ、雑炊と1通りのコースを頂いた後、スタッフからのサプライズで、私の誕生日が近いため、5号いちごデコレーションケーキをデザートで頂きました。年齢的にケーキは胃にはきつかった (というよりケーキが大きすぎた) のですが有り難く頂きました。3週間の激務を終えた後の酒は美味しく、女将さん?の対応も非常に良い店でした。

年初のピークは今週で終わりそうですが、花粉症のシーズンやインフルエンザの流行も続くため、来週からも健康に留意して頑張りたいと思います。





  

Posted by サンジ at 22:57Comments(0)会食

2019年01月19日

薬物乱用(依存性)頭痛

当薬局は近隣に頭痛専門医院があるため、片頭痛の患者様が多く来局されます。
頭痛の原因は様々であり、痛みの強さ・痛む部位・持続時間など症状も人により異なります。中には、生命が脅かされるような危険な頭痛もあり、また治療法も異なってくるので、そのタイプを鑑別することは非常に重要です。ほとんどの患者さんが、他の疾患のない「一次性頭痛」に分類されますが、それを大きく分けけると①片頭痛、②緊張型頭痛、③群発頭痛の3つに分かれます。

医師が、それぞれの頭痛を分類(複合してる場合もあります)し、予防薬・鎮痛薬が投薬されますが、問題になるのが、市販の鎮痛薬の使用過多による『薬物乱用(依存性)頭痛』です。当薬局においても月に1人は必ず来局されますが、月に10回以上も鎮痛薬を服用してる頭痛患者さんは、薬物の過剰服用が引き金となり、痛みに対する感受性が過敏になる、つまり痛みの閾値が下がってしまい更に薬の過剰服用に繋がっていきます。

・以前はよく効いていた頭痛薬が効かなくなってきた。
・薬をいくら飲んでも頭痛が以前より酷くなってきた。
・頭痛の程度、痛みの性質、痛む場所が変化することがある。

このような症状が現れ、月に10回以上も鎮痛薬を服用してる方は、すぐに専門医を受診した方が良いでしょう。
静岡県の専門医 http://www.jhsnet.org/ichiran.html#shizuoka

また、患者さんから聞きましたが、携帯の頭痛アプリを使うと、天候や周期で頭痛のタイミングが当てはまることが多く、鎮痛薬を飲むタイミングも分かるそうです。他に頭痛ダイアリーをつけると専門医も診断がしやすいですね。
「頭痛-る」 https://zutool.jp/about
「頭痛ダイアリー」 https://zutsu-online.jp/diary/

成人病等の慢性疾患と違って、頭痛は「痛み」という症状が分かりやすい疾患のため、安易に購入できる痛み止めの服用に走ってしまいますが、長期の服用で胃腸潰瘍を起こしたり、効果が減弱し過剰服用になる可能性があるため、特に女性に多いですが、当てはまると感じる方は受診をお勧めします。季節の変わり目・職場等の環境変化・過剰ストレスがきっかけで、元々ある片頭痛が発症するパターンが多いと感じます。




  
タグ :頭痛


Posted by サンジ at 19:26Comments(0)薬局・医薬品

2019年01月04日

新年のご挨拶

新年 明けましておめでとうございます。本日より新年の業務を開始致しました。

今年はスロースタートで、インフルエンザの患者さんは約10名来られましたが、まだ流行してる感じはしません。年末年始はシンガポールで過ごしてましたが、昨晩の夜中に帰ってきたため体が重く、今日は何とか業務を終えることが出来た感じでした。

シンガポールは2回目の訪問ですが、あらゆるアミューズメントが揃っており、多種人種国のため差別も少なく、鳥や虫が少なく治安が良い等、観光には最適の国です。気温は30度以上で雨期なのですが、ほとんど晴れてました。年末は仕事が入ることも多いですが、無い時はリセットするために海外旅行に行くようにしてます。知らない世界に触れる事で、見える景色や考え方が変わるのと、帰る時に日本の良さを再認識できるからです。20回以上は海外旅行に行ってますが、帰国した日に、自分の家の風呂に入ってベッドで寝る時に毎回幸せを感じます。今日は疲れてるため早く寝て明日の仕事に備えます。

今年も宜しくお願い致します。




p.s. 1月5日(土)
よく寝たおかげで、だいぶ復活しました。来週からは年始の患者さんが来られ、全力で仕事をしないと厳しくなるため、年末から風邪もひかず休まずに頑張ってくれてる社員に牛肉・うなぎ弁当を振舞いました(私も頂きました)。昨年末の12月26日の仕事後に疲れ切ってましたが、他の薬局の経営者さんと夜の11時まで喫茶店で経営討論をしました。今年は増税による早送りの改訂があるため、厚生省が考える夢を視野にいれつつ、財務省が見てる現実を最優先するべきだという結論に落ち着きました。方針に関してはスタッフは理解してますが、更に結果を出していきたいと思ってます。



  


Posted by サンジ at 20:48Comments(0)経営旅行