2024年02月22日

鉄欠乏性貧血治療剤 「リオナ錠250㎎」 説明会

本日は、鳥居薬品株式会社MRさんより、鉄欠乏性貧血治療剤 「リオナ錠250㎎」 の説明会をして頂きました。

リオナ錠といえば、血液中のリンと結合し腸からのリン吸収を抑える高リン血症の薬と認識してましたが、約3年前に「鉄欠乏性貧血」の適応が追加になってたのを最近になり知りました。

・ 『 フェロミア:第一鉄(2価:Fe2+) 』と『 リオナ:第二鉄(3価:Fe3+) 』の違いは消化管からの吸収になると思いますが、効果に関してはリオナはフェロミアとの比較試験が実施されており、非劣勢が証明されてるとの事。リオナ1000mg/日=フェロミア100mg/日
・ リオナは、食事直後の服用により、食事中のリンと結合し安定した複合体を形成して胃や小腸などの消化管に到達するため、遊離鉄による消化管の刺激が少なく、悪心嘔吐が少なくなると考えられている。ただ、下痢の頻度は少し高いかもしれません。

一般に鉄剤は消化器症状(吐き気、嘔吐)の発現率が高く、副作用を訴える患者さんは多いので、悪心・嘔吐の少ないリオナ錠がセカンドチョイスとして有用になると思いますが、ネックなのが薬価(148.2~296.4円/日)と、認知度が低いことでしょうか。MRさんも人数が少ないため専門医療機関の訪問の偏りがあり、消化器内科・一般内科の医師にあまり宣伝が出来てないとの事でした。

鉄欠乏性貧血は月経のある年代の女性に多く、国内で約500万人の患者がいると言われてますが、フェルムカプセルが販売中止になり選択肢が狭くなるため、今後はリオナ錠が選ばれる事も増えてくるのではないでしょうか。


【鉄欠乏性貧血経口治療剤】
フェロミア錠50mg:フィルムコート錠、(△フェロミア顆粒)1日薬価:7.2~28.8円)
 胃酸が減っている状態でも安定して吸収されやすい。
フェルムカセプル100mg:徐放カプセル(販売中止:2024年4月に在庫消尽:1日薬価7.4円)
 カプセル剤のため、鉄の味・臭いがしない、徐放製剤のため消化器系の副作用が少ない。
フェロ・グラデュメット錠105mg:徐放型鉄剤:1日薬価(6.7円~13.4円)
 食直後に服用。錠剤が小さい。緑茶と一緒に服用で吸収が1/2に低下。制酸薬との併用で効果が落ちる。
インクレミンシロップ (6.2円/ml)
 チェリー風味でおいしい。液剤のため副作用の発現状況をみながら用量調整も可能。


  

Posted by サンジ at 21:26Comments(0)薬局・医薬品

2024年02月08日

多汗症治療剤 「エクロックゲル」説明会

本日は、科研製薬株式会社MRさんより、原発性腋窩多汗症用外用剤 「エクロックゲル」 の説明会をして頂きました。

脇の多汗症に使用する薬剤ですが、以前は多汗症というと治療薬は「塩化アルミニウム溶液」、「ボトックス注射」しかないイメージでしたが、2020年11月に「エクロックゲル」、2022年5月に「ラピフォートワイプ」が発売され、現在では脇の多汗症に関しては治療の幅が広がってるようです。

・汗腺のアセチルコリンの働きを局所でブロックすることで汗を抑える。
・1日1回の塗布で、薬液に触れずに塗布可能。
・効果が出るまでの期間は1週間、80%の方で汗が抑えられ、60%の方は日常生活に支障が無くなる程度まで改善。
・2023年6月に直接塗布タイプのツイストボトルが発売。2023グッドデザイン賞を受賞。
・手掌多汗症の適応も取りたかったが副作用面で断念。
・副作用はほとんどが皮膚炎で、抗コリン薬の副作用(散瞳、霧視、口渇)も少し報告がある。
・薬価は9,704円/40g(1か月分)で3割負担だと2,911円。少し高い。

日本人の10人に1人は多汗症であり、そのうち約60%が原発性腋窩多汗症と言われてます。
原発性腋窩多汗症患者は20~30代の女性の有病率が高いのですが、受診経験率は4.4%と低いのが現状のようです。
少し前に原発性手掌多汗症の疾患啓発TVCMに二宮和也さんが起用され、そのおかげで多汗症の受診率は上がったそうです。

結婚式のパーティドレス着用時に腋汗対策に1週間前からエクロックゲルを使用される方もいたというエピソードもありましたが、季節によっては女性なら誰でも腋汗を気にする可能性はあるため、美容目的で流行したヒルドイドソフト軟膏と一緒で、化粧品のように流行してもおかしくないなと思いながら聞いてました。

原発性腋窩多汗症の診断基準:「Hornbergerらの診断基準」
局所的に過剰な発汗が明らかな原因がないまま6ヵ月以上認められ、以下の2項目以上があてはまる場合を多汗症と診断する。

① 発症が25歳以下である
② 左右対称性に発汗がみられる
③ 睡眠中は発汗が止まっている
④ 週1回以上の多汗のエピソードがある
⑤ 家族歴がみられる
⑥ それらによって日常生活に支障をきたす

上記の症状に当てはまる方は専門医を受診して相談してみてはいかがでしょうか。

【多汗症治療剤(抗コリン薬)の成分】
・ エクロックゲル(ソフピロニウム臭化物 50mg/g) 
・ 原発性腋窩多汗症治療剤 ラピフォートワイプ(グリコピロニウムトシル酸塩水和物 62.5mg/包)
・ 原発性手掌多汗症治療剤 アポハイドローション(オキシブチニン塩酸塩 200mg/g)
・ 多汗症治療薬 プロ・バンサイン錠15mg(プロパンテリン臭化物15mg)







  

Posted by サンジ at 19:54Comments(0)薬局・医薬品

2023年12月15日

「オセルタミビル錠75㎎」 説明会

今週は、東和薬品株式会社MRさんより、東和薬品工業の現況、RACTAB製剤、オセルタミビル錠75㎎「トーワ」」 の説明会をして頂きました。

【内容】
・ 山形工場の生産能力増強のための建設工事が完了したため、全ジェネリック薬品の20%(175憶錠)を生産できるようになった。
・ RACTABの製剤設計により、苦みをマスキングしたり飲みやすいOD錠の開発している。
・ オセルタミビル初の錠剤を開発し、有効成分の苦みを軽減したフィルムコーティング錠で飲みやすくなった。粉砕も可能であるが苦みは避けられない。龍角散の服薬ゼリー(チョコ味)で軽減できる。

新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行により、今まで開催できなかった局内でのメーカーさんの説明会を月1回ペースで実施できるようになりました。特に衛生用品や介護食品等の製品の説明会をメーカーさんに協力して頂き、事務さんも含めて多く開催することが出来たのが良かったと思います。

今年は公私ともに今までで最も良かった1年だった気がしますが、来年は2年に1度の調剤報酬改定、毎年の薬価改定等、経営的には更に厳しい状況が予想されます。まあ、あまり肩肘張らずに来年もやるべきことはやっていければと思います。





  

Posted by サンジ at 19:45Comments(0)薬局・医薬品